陥没乳頭の手術はどうやっておこなわれる?
陥没乳頭で悩んでいる方のなかで、乳首をどんな方法でも突き出すことができない「真性陥没乳頭」や、手などで出すことはできる「仮性陥没乳頭」であっても乳頭吸引器ではなく、確実に早く治したいと思っている方には手術療法による改善は有効な方法になります。
しかし陥没乳頭の手術といっても方法はさまざまで、病院によって術式が違ったり、難易度が変わったりと、手術を受ける側もある程度の基礎知識を知っておかないと、自分の意志に反する結果になるかもしれません。
そこで、このページでは、一般的に用いられる陥没乳頭手術方法を参考例として紹介するとともに、特徴や見逃しやすいリスクなどについてもまとめてご紹介します。
陥没乳頭手術を検討している方はこちらのページで基礎知識をつけてから、お医者さんの話を聞いて手術について判断するようにしましょう。
陥没乳頭の手術は乳管を「無くす」「無くさない」で大きく異なる
まず、陥没乳頭の手術方法で大きく違うのが、「乳管」を残すか残さないかということ。
乳管というのは、乳首の真下にあり、乳房になる乳腺(にゅうせん)でできた母乳を、出口にある乳首につなぐ役割があります。
まず乳管を残さない手術についてご紹介しましょう。
陥没乳頭は、乳管が乳頭を内側に引き込むことで起こっているため、単純に乳管を切断すれば、引き込む原因がなくなるため、簡単に手術が終わり、再発のリスクもほぼないといわれています。
しかし、乳管をなくしてしまうと、母乳を運ぶことができなくなり、乳首から母乳を出すことができなくなってしまいます。
こうなると、これから出産して、直接授乳をしたいという方にはあまりにもリスクのある手術となってしまいます。
実際に乳管を切除する方法は、特に若年層の方にはすすめられない方法ですが、逆に、これから出産の予定がなく、見た目の改善だけを目的とする方には適する手術といえるでしょう。
また、陥没の度合いが深い場合、陥没乳頭の再発を防止するために乳管を切除することをすすめる内容の論文も存在します。
もちろん、手術の内容は、事前に医師からも丁寧な説明があると思いますが、自分の将来の予定を考えて、乳管を切除するのかしないのか確認するようにしましょう。
乳管を切除する方法では健康保険が適用されない
もうひとつ、乳管を切除する手術方法の場合、健康保険が適用されず、費用は全額自己負担となります。
これは、健康保険が適用される条件のひとつとして、「単なる美容を目的とするものは保険給付外である。」と書かれているからです。
陥没乳頭手術における健康保険適用のくわしい条件については、こちらの陥没乳頭手術で健康保険適用される条件と手術費用は?ページをご覧ください。
乳管を残す主要な陥没乳頭手術方法
いっぽう、乳管の残す陥没乳頭方法は、授乳にも影響がなく、見た目も改善できるので、将来の出産を考えている方にも有効な方法といえるでしょう。
ここでは、比較的多くの病院で行われている主要な方法を3つご紹介しますが、病院や、執刀される先生によって細かな部分が違う場合があります。
Nanba方法
- 1.乳頭根元を数個Z形状に切る
- 2.Z型に切ることで可動域が広がるため皮膚が伸びることで短くなった部分が伸びる
簡単にまとめると、乳首の根元を切り、乳頭自体を盛り上げることで自然に皮膚が伸びて、陥没状態が改善することになります。
この1,2の流れは、上からみてZ型に切ることからZ形成術と言われ、皮膚が不足することを補う方法として形成外科手術では多く使われている手術です。
乳管を切除せず、乳頭の根元を切り乳頭自体を盛り上げることで陥没乳頭が治るという仕組みのため、軽度な陥没乳頭向けの手術方法になります。
ただし、この方法は、たんに皮膚を盛り上げるだけの手術であることから、再発のリスクもあるとされています。
病院でNanba法の提案をされた時は、再発リスクについてお医者さんに確認してみてもよいでしょう。
酒井法(I法)
- 1:乳頭に糸をかけて引き出す
- 2:乳頭基部を二ヶ所切除し皮弁を作成
- 3:乳頭を二分に切開する
- 4:乳管周囲の陥没乳頭の原因となっている部分を乖離
- 5:2で作成した皮弁で乳頭基部を固定して縫合
2の方法は皮弁法といい自分の皮膚で切除部分を補うことで、欠損した部分を補うという、こちらも形成外科手術ではよく使われる方法です。
こちらの方法は、手順も多く、手術の難易度は高いですが、再発リスクも非常に少ないため、真性陥没乳頭など重度な場合の手術で多く行われます。
日本形成外科学会のサイトでも良い方法として紹介されていますが、ただし、このような心配な記述も。
十分熟練した術者が行わないと術後2~3週間でまたもとに戻ってしまったという例も聞きます。
参考:日本形成外科学会
つまり、この手術を行うためには、医師のスキルが十分でないと、再発するリスクもあるということです。
なかなか医師の方にスキルの有無を問うことは難しいですが、相談や診察する際には、十分な経験を持っているのか、専門性がある医師なのか、それとなく確認してみるのも一つの方法といえますね。
Skoog法
上記2つ以外にも、Skoog法という手術方法もあります。
これは 乳頭の側面と乳輪を4箇所楔状に切除し、切除した部分で乳頭基部を締め上げるように縫合することで乳頭を立たせるという手術方法です。
ただ、この方法は、乳輪に多くの切り傷縫い傷が残り乳頭への血行障害が起こる可能性があり、実際に用いられる方法としては少数にとどまるようです。
病院で提案される可能性もありますが、その際はリスクをきちんと確認してから、判断するようにしましょう。
病院や執刀される医師の方針と自分の希望があるかじっくり相談して
このページでご紹介した通り、陥没乳頭の手術といっても、さまざまな手術の方法があるということがわかりました。
最初にも書きましたが、実際の陥没乳頭の手術は、程度や状態によって、細部が変わることがありますし、また執刀される先生によって術式が異なる場合があります。
そのため、診察において実際に提案される内容と、自分の希望(見た目、費用、許容できるリスク)をしっくり合わせることができるかを判断する必要があるといえます。
やはり見た目の部分が大きく影響する手術となり、執刀される医師の方をしっかり信頼できるか?ということはもちろんですが、できれば複数の病院に打診し、自分で納得てきる内容であるか、面倒でもしっかり確認することをおすすめします。
※このサイトは、株式会社ピュアナスが陥没乳頭への啓発を目的に情報を提供しているサイトです。サイト内で紹介している具体的な医療機関への診療方法については情報提供も行うことができません。診療方法等については、直接医療機関にお問い合せくださるようお願いいたします。
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