陥没乳頭でうまく授乳するためのコツ

陥没乳頭の状態でどうしても困ってしまうことが、赤ちゃんへの「授乳」です。

特に、完全母乳で育てたいと願うお母さんにとっては切実な問題といえるでしょう。

赤ちゃんはどうしても吸う力が弱いため、乳首がある程度突出していないと上手に飲むことができません。

陥没乳頭に悩むお母さんのアンケートでも、見た目の問題の次に多かったのが「授乳」に対するお悩み。

Q.乳首のことでお悩みや困ったことを、具体的に記入してください。

  • 陥没乳首なので、子供が生まれたての時にはなかなか授乳が出来ずに大変でした。
  • 普段はとくに困らないが授乳がしづらく困りました。
  • 子どもが2人います。 第1子が生まれてすぐに授乳の際高さがないため 上手く赤ちゃんが吸えず、乳首に保護器をあてて 授乳をしていました。 赤ちゃんの成長と共に口も大きくなるので、 直接吸えるようになりましたが約2ヶ月近くは 高さのない乳首と戦いました。
  • 子供を出産した後授乳の際、乳首が小さいため苦労した

調査実施:Shinobiアンケート 母集団:436,664名 対象者:全国の女性15歳~70歳 有効回答数:400 実施期間:2018年9月13日~9月25日

また、将来出産を望んでいる方にとっても、しっかりと授乳ができるか不安といった意見が寄せられています。

そこで陥没乳頭でもうまく授乳させるための方法についていくつかまとめてみました。

ただし、すべての方に適用できる方法ではないため、まず、自分の陥没乳頭の状態がどの程度か把握する必要があります。

陥没乳頭の状態に応じてケア方法が変わる

一般的には陥没乳頭の状態は以下の3つのグレードに分類できるとされています。

  • グレード 1 …陥没乳頭を簡単に徒手的に整復できるが、いずれまたもとに戻る。
  • グレード 2 …何とかピンセットなどで引き上げると整復できるが、離すと陥没する。
  • グレード 3 …手術によらなければ乳頭は出てこない。

グレード1,2にあたるものを仮性陥没乳頭、グレード3にあたるものは真性陥没乳頭と呼ばれています。

このうち、手指や、ピンセットで乳頭を引き上げることができる仮性陥没乳頭の場合、一時的でも乳頭を出すことができるので赤ちゃんが吸いやすい状態をつくることができます。

ではどのような方法があるのか順にご紹介したいと思います。

仮性陥没乳頭の場合のケア方法

吸わせ方を工夫する

まず取り組んでもらいたいことは、赤ちゃんへの吸わせ方に一工夫加えてみることです。

実は赤ちゃんは乳首をただくわえるわけではなく、乳輪の部分までをくわえこみ、口全体で吸う力をかけることで上手に母乳を飲むことができます。

逆に乳首だけをくわえさせようとしている場合、赤ちゃんにとっては口先だけで吸っていることになっているので吸う力が足りなくなっているのです。

赤ちゃんが口全体で乳輪までを覆うようにしておっぱいを吸っているか、確かめてみるようにしましょう。

マッサージをおこなう

乳頭部分を指で引っ張り出せる場合、マッサージを続けることによって、クセ付けることができる場合があります。

いくつかの方法があり、代表的なホフマンテクニックと呼ばれるマッサージ法についてご紹介します。

1:乳頭部分を指で引き出す
2:親指と人指し指の腹で乳頭をつまむ
3:乳首をつまんだまま、左右に引っ張って伸ばしたり押さえて縮めたりする。

これを親指をつける部位を変えて1日5回程度行うことが推奨されています。

ただし、あくまでも乳首が突出することをクセ付けることが目的になるため、すぐの効果は期待できません。

また、人によっては痛みを伴うことがあるため、すべての方に通用する方法ではありません。

乳頭保護器(ブレストシェル)を使う

ブレストシェル

ブレストシェルはシリコンで作られたリング状の器具で、本来は炎症を起こしていたり、傷がある乳頭を衣服の摩擦などから保護する目的のアイテムです。

秋田大学医学部が2004年に発表した症例報告によると、妊娠期の女性2名を対象に、1日2~3時間の装着を3週間続けることによって、乳頭の長さを伸ばすことができ、うち仮性陥没乳頭の方は自然に乳頭が突出する状態になったという結果が報告されています。

アメリカ製の器具であり、陥没乳頭を治すための器具ではないですが、妊娠中に一定期間使い続けることによって陥没乳頭の改善効果もあるようです。

ただしこの方法も使い続けてクセ付けることが目的となるため、即効性があるわけではありません。

乳頭保護カバー(ニップルシールド)を使う

ニップルシールド
ブレストシェルと似たような乳首の保護カバーですが、こちらは乳頭を引き出す目的ではなく、授乳時に乳頭部分に押し込み、先端を赤ちゃんに咥えさせることで授乳ができるようになるアイテムです。

痛みや傷がある場合のほか、陥没乳頭や扁平乳頭の方にも使える設計になっています。

両端が乳頭の形をしており、その片方の突起部分を乳頭部分に押し込み、そのまま乳房に吸着することによって、赤ちゃんが咥えやすい状態を作ります。

あくまでも授乳をしやすくするという目的で産院等ですすめられていることが多いアイテムです。

乳頭吸引器を使う

授乳のときだけでいいから、一時的にすぐ乳頭を突出させたいという場合は、「乳頭吸引器」を使用してみることも手段のひとつとなります。

吸引器は、以下のような3つタイプが販売されています。

手動ポンプタイプ
電動タイプ
常時装着型タイプ

それぞれのタイプで多くのアイテムが発売されていて、くわしくはこちらのページでご紹介しています。

得られる効果は陥没している程度によって個人差がある

ここまでにご紹介した方法はいずれも、すべての方に向いているというわけではなく、陥没している状態や程度によって得られる効果は変わってきます。

どの方法が自分にとってベストなのかは、通院している病院の助産師さんに相談するなどして、よい方法を選択されることをおすすめします。

※このサイトは、株式会社ピュアナスが陥没乳頭への啓発を目的に情報を提供しているサイトです。サイト内で紹介している具体的な医療機関への診療方法については情報提供も行うことができません。診療方法等については、直接医療機関にお問い合せくださるようお願いいたします。
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